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肉離れ

セルフチェック

  • ボックスポーツをしている時に急に鈍い痛みがでた
  • ふくらはぎか、太ももがいたい
  • 押すと痛い
  • ストレッチすると痛い
  • 力を入れると痛い
  • 腫れやへこみがある
  • 痛みのため通常の歩行ができなくなる
  • 普段ストレッチや運動をしていない
  • 翌日になって皮膚の変色がある

肉離れについて

スポーツをしているときに、急に足が痛くなってきた・・・

肉離れとは

スポーツによるものが多く、典型的なふくらはぎの肉離れは、下腿二頭筋の内側頭の筋肉の部分断裂です。

ふとももの肉離れは、前面は大腿四頭筋、後面はハムストリングの筋部分断裂です。

筋肉が伸ばされながら収縮すると、筋力に負けて部分断裂を生じることがあります。それが「肉離れ」です。

肉離れが起きやすい部位

肉離れは筋肉であればどこにでも起こり得ますが、特にハムストリングス(太ももの裏の筋肉)や大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)、腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)の下肢に起こることが多いです。

1.テニスやバドミントンのジャンプ時→腓腹筋内側頭(ふくらはぎの筋肉)
2.サッカーのシュート動作時→大腿直筋(太もも前面の筋肉)
3.短距離走のダッシュ時→ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)

肉離れの起こしたときの症状

肉離れを発症したときは、「鋭い、力が抜けるような痛み」「ぱちっという音がしたような突然の痛みを感じた」ということが多いです。

肉離れの痛み

肉離れによる痛みには主に以下の3つがあります。

1.伸ばしたときの痛み(ストレッチ痛)→重傷度を反映するため重要
2.押したときの痛み(圧痛)
3.自発痛(安静にしても痛みを感じることがあります)

肉離れの外見上の変化

肉離れでは患部に外見上の変化がみられることがあります。腫れやへこみ、また内出血を起こしている場合には、翌日以降に皮膚の変色が見られることがあります。

肉離れの診断と治療

ふくらはぎの肉離れ(腓腹筋)

・ふくらはぎの肉離れには、超音波エコー検査が有用です。血のかたまり(血腫)の確認、肉離れの程度など診断と重傷度を確認できます。
・軽症例では、歩行が可能で、数日で痛みが軽減したらストレッチングを開始し、受傷後1~2週間で競技への復帰を目指します。弾性包帯固定やテーピングやふくらはぎ専用のサポーターが有用です。
・中等症〜重症例の場合は、歩行が困難で血腫という血のかたまりが溜まっていることが多いです。血腫が広範囲に広がっている場合、治りが悪くなるので、針で血腫を除去することもあります。中等症になると、再受傷の危険性があることから、超音波エコー検査で腱や筋肉の修復が確認されてから、競技復帰することを勧めております。スポーツ復帰には4週間~3カ月を要します。

肉離れの診断と治療

太もも前面(ハムストリング)と太ももの裏(大腿四頭筋)の肉離れ

筋肉をストレッチした時の痛み(ストレッチ痛)がでる角度で、重傷度がある程度わかります。

太ももの肉離れはMRI検査(磁気を使い、体の断面を写す検査)が有用です。MRI画像により肉離れの重傷度がわかります。重症度は軽症(Ⅰ型)、中等症(Ⅱ型)、重症(Ⅲ型)に分けられます。(奥脇透.臨床スポーツ.2010)

・ストレッチ痛がほとんど無く、力を入れるときだけ痛いのであればⅠ型(軽症)と判断します。テーピングやサポーターを使用し1〜2週でスポーツ復帰が可能となります。
・ストレッチ痛が明らかなものはⅡ型以上を疑いMRI検査を勧めます。
・中等度(Ⅱ型)は、腱膜の修復に時間を要するためスポーツ復帰には1〜3ヶ月かかります。Ⅱ型損傷なのにⅠ型損傷と診断され、早期にスポーツ復帰した場合には、約半数の症例で再断裂を認め、最終的に競技復帰が遅くなります。
・MRI画像で重度(Ⅲ型)が強く疑われた場合には手術療法の選択も検討する必要があります。スポーツ復帰には3〜6ヶ月かかる見込みです。

太もも前面(ハムストリング)と太ももの裏(大腿四頭筋)の肉離れ

肉離れと似た疾患

こむら返り

肉離れと間違いやすいものには、こむら返り(足がつること)が挙げられます。

こむら返りは疲労や電解質不足で起こることが多く、ふくらはぎがけいれんすることが特徴です。そのため、痛みを感じたときに筋肉のけいれんを感じた場合にはこむら返りである可能性が高いです。

また、こむら返りの場合には筋肉が収縮し足がつった状態になり、しばらくは力が入ったまま力を抜くことができません。

筋挫傷
筋挫傷は何かにぶつかったときなどに筋肉が損傷する怪我で、肉離れと似たような症状がみられます。しかし、筋挫傷の場合は外からの打撲が加わることで発症します。

肉離れになったときの初期の対処法

肉離れを疑う怪我を発症した場合には、受傷直後(受傷後2日間)では氷やアイスパックなどによる冷却、包帯による圧迫、枕などでの挙上を行い安静にします。

特に、内出血の拡大を防ぐために受傷直後のアイシングと安静が重要です。出血が拡大することで患部以外にも血腫(血の塊)が増えます。すると、血液が体内に吸収されるのに時間がかかるため、結果的に治療期間が長引く原因となります。

初期の治療のポイントは、血腫の形成や炎症を最小限に抑えることですので、痛みが軽いからと言って、無理に動かしていると悪化することがあります。

肉離れを起こしたら、スポーツ復帰はいつから?

肉離れが治っていくにつれて「伸ばしたときの痛み(ストレッチ痛)」と「力を入れたときの痛み」が消えていきます。

痛めた筋肉をストレッチして、健側と同じぐらい筋肉をのばしても痛みがなく、このときのストレッチ痛なく足を挙げることができ、かつ力を入れてみても痛みを感じなければ、痛みのない範囲でウォーキングを開始します。

ストレッチ痛がなくなったからといっていきなりスポーツを再開してしまうと、肉離れを再発する危険性があります。そのため、ウォーキングなどの日常生活動作に不安がなくなってから、ジョギングなどの軽い運動を行うようにしましょう。

肉離れの再発防止のためには

肉離れを起こしたあと筋肉を使わない状態が続くと、筋肉が細くなってしまいます。筋力が回復していない状態でスポーツを再開すると、再び肉離れを発症する恐れがあります。

そのため、受傷部分の筋力をしっかりと回復させてから復帰するようにしましょう。肉離れした太ももやふくらはぎの太さが、健側と同じになってからスポーツを再開することをおすすめします。

院長からの一言

筋力や、筋肉の柔軟性が不十分な状態でスポーツに復帰すると、再発する可能性があります。

再発予防には、①全身の柔軟性の改善②筋力強化③不良な姿勢の矯正④疲労の蓄積の予防、などが重要となります。

リハビリの専門家である理学療法での治療がとても有効で、スポーツ復帰をする場合は、理学療法による治療を当院では勧めております。

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