Column コラム
- 膝コラム
- 2021.09.29
膝関節に対するリハビリテーション「変形性膝関節症」
概要
変形性膝関節症とは膝の軟骨が少しずつ減少して、変形したり骨が擦れて痛みがおこったりする病気です。イスからの立ち上がりや歩行で痛みが出るなど生活で困ったことが多くなります。男女比は1:4で女性に多く、加齢と共に増えると言われています。1)
原因
関節軟骨の老化現象(加齢・代謝障害・循環障害・肥満など)によるものと、基礎疾患(外傷・リウマチなど)によるものがあります。これらの原因を背景に、生活習慣の乱れによる姿勢の変化や膝にかかる荷重のアンバランスなどによる機械的ストレスが更なる進行を助長してしまいます。
セルフチェック
1〜4の症状
変形性膝関節症と診断されることが多く老化現象による症状です。
5〜7の症状
膝に水が溜まっている可能性があり、変形性膝関節症や関節リウマチの典型的な症状です。
上記の1〜7の症状がある方は可能な限り初期の段階から、医療機関を受診し治療介入することが望ましいでしょう。
症状・病期
初期
初期の特徴は主に膝関節周囲に痛みが発生することと水が溜まることです。この時期には関節内注射やリハビリなどの保存療法が適応です。
中期
中期は正座や階段の上り下りが困難になるため中期〜進行期にかけては手術による関節内の掃除や高位脛骨骨切り術などの手術が適応になります。
末期
末期になると安静時にも痛みが出現し、変形が目立つため膝が伸びにくく歩行能力も低下するため、人工関節などの手術が適応になります。
「変形」=「痛み」ととらえがちですが、変形があったとしても7〜8割の人は痛みを生じないとも言われており、痛みの原因は様々であり保存療法で改善することもあります。
図1 変形性膝関節症の病期 2)
リハビリテーション
膝関節のリハビリテーションは痛み・筋力低下・可動域制限に対してその症状の原因を追求し、運動療法・徒手療法・装具療法などを用いて、根本から改善することを目的にリハビリを行います。結果として日常生活活動(ADL)の改善、生活の質(QOL)の向上を得られることを目指します。
症状に対するアプローチ
変形性膝関節症の主な症状である、痛みの原因は様々ですが、何らかの原因で筋力低下がおこると、そこを補うように他の筋肉を過剰に使ってしまうことで痛みが出てきます。年齢と共に活動量が減少することで全身の筋力低下を招き姿勢が崩れ、これらを予防・改善するために「ふともも」「お尻まわり」「体幹」の筋力を強化することが重要になります。また、症状の一つとしてしゃがみにくく感じたり、立ったり歩いたりする際に膝が伸びにくいと感じることがあります。これらが続くとより膝関節に負担がかかり、軟骨の摩耗も増え、膝の動きに制限が出てきます。したがってお膝の関節可動域訓練も重要なリハビリになります。
体重のコントロール
変形性膝関節症の進行を予防するためには体重のコントロールも重要になります。膝の痛みによって活動量が低下しさらに体重が増加することで、膝の痛みや変形が悪化してしまう悪循環に陥る可能性が考えられます。そのため運動と共に食事のコントロールも重要です。
患者様によって症状や訴えは異なり、変形や痛みの程度を考慮しながら、患者様のお仕事・趣味活動など様々な生活スタイルに合わせて可能な範囲での運動の選択や日常生活での注意点なども提案させていただきます。
図2 リハビリテーション
(1. 公益社団法人 日本整形外科学会(The Japanese Orthopedic Association)ホームページより引用 https://www.joa.or.jp/
(2. 公益社団法人 日本理学療法士協会 理学療法ハンドブック シリーズ7 変形性膝関節症 より一部引用 http://www.japanpt.or.jp/general/tools/handbook/
文責:理学療法士 山内
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